もうひとつの、蜜白玉のひとりごと

些細な出来事と記憶の欠片

春の気配

寒がりの夫がめずらしく、最近そんなに寒くない、とぽつりと言った。

3月に入ってもしつこく南下してくる寒気のせいで、相変わらず北風がびゅーびゅーと吹きつける朝の通勤路、おお寒い!と縮こまりながらも、まぶたで受け止める日差しには春のぬくもりを感じる。すぐそこまで、春が来ている。ちゃんと居る。そのことに少し勇気づけられる。

気温が同じでも日差しの角度が違うからね、と夫に返事をする。