もうひとつの、蜜白玉のひとりごと

些細な出来事と記憶の欠片

祝辞兼訓辞

夫婦だー!と言って区役所前の道路をバーっと走って、タクシーにピッてクラクション鳴らされてから、10年がたった。

昨日、世田谷文学館クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会-星を賈る店」のおかしなトークショーその4[金曜日の本と未来の本]を聴きに出かけた。ちまちまと往復はがきを送り抽選で当たったのだが、どうやらかなりの倍率だったらしい。

吉田篤弘さん吉田浩美さんご夫妻は≪クラフト・エヴィング商會≫の名で、本を書いたり装丁などのデザインをしている。加えて何やらおもしろいアート作品もたくさん生み出している。今回の展覧会は初めての棚卸的展覧会で、会期最終日前日に、吉田さんご夫妻と出版各社の担当編集者による“公開編集会議”という位置づけのトークショーだ。

その内容はもったいなさすぎるくらいおもしろかったのだが、それはまたあとで別にまとめるとして、本物の動く吉田さんは作品から受けていた印象とは全く異なり、とてもおしゃべりな方だった。でもたぶん、人前で話すことが好きというよりはどちらかといえば、思いついたことやおもしろいことを外に出さずにはいられない、アイディアがあふれてあふれて仕方ないという感じに見えた。浩美さんもよく通る大きな声でカラカラと笑い、そうよそうよ、って吉田さんの話に合いの手を入れていた。お二人とも楽しいことを見つけるのがすごく上手で、おお、これは!と日々の生活に通じる何かを得た気がした。

結婚10周年を迎えるにあたって、これ以上ない最高の時間、またとない出会い(直接お話はしていませんけどね)だったことは言うまでもない。このトークショーを私は勝手に10周年の祝辞兼今後に向けての訓辞として受け取ることにする。

とりあえず今日から思いついたことを自室の壁にぺたぺた貼っている。