もうひとつの、蜜白玉のひとりごと

些細な出来事と記憶の欠片

真夏のコインランドリー

我が家の洗濯機はたしか7キロだか8キロ洗えるはずなのに、薄手のラグ1枚で、エラー連発、仕舞いには、無理ですもう回れません、と脱水の途中で自分の仕事を放棄する。そんな状態で放棄されても、ぐっしょり濡れたままのラグは重くて、ベランダに干しても乾くまでに何日もかかるし、そんなこんなでラグを洗いたくてもその顛末を思い出すにつけ、なかなか洗えないでいた。

1年くらい前に、近所の駐車場の角にコインランドリーができた。かなり大型のものも洗えるらしく、ふとん!とか書いたノボリがあったような気もする。相方といっしょに、リビングのラグと、食卓の下に敷いてあるラグをそれぞれ抱えて、コインランドリーに行ってみる。いちばん大きい洗濯機はあいにく誰かの洗濯物が回っていた。横の中ぐらいの洗濯機で念のため1機1枚で回すことにする。洗剤も柔軟剤も家から持ってきたが、自動投入されるから不要、と書かれている。ふたを閉めて、400円を入れて、スタートボタンを押すと、2機の洗濯機はラグに対してなんのてらいもなく回り始める。27分後の仕上がりということで思ったより短いので、近くのコンビニで時間をつぶすことにする。コインランドリーのプレハブで待つには今日は暑すぎる。

洗いあがりのラグををお腹に抱えて、コンビニで買ったアイスを片手に提げて家へといそぐ。猛暑の空に向かって、これでもか、と洗い立てのラグを2枚広げる。真夏の午後の日差しが痛いほどまぶしいベランダに、少しなつかしい洗剤の匂いがただよう。