もうひとつの、蜜白玉のひとりごと

些細な出来事と記憶の欠片

彼女たちのワンピース

その映画を見るなら断然、季節は夏で、今くらいがちょうどいい。日の光がまぶしくて、頭がぼーっとして、周囲の音が遠ざかるような、そんな日がうってつけだと思う。暑さにやられ脱力した自分の隣にそっと差し出される、ちょっとわけのわからない物語。空っぽな自分を物語の中で自由に遊ばせる。そこには幾通りもの意味が潜んでいて、毎回新しいおはなしのよう。

いつだって際立つのは彼女たちの色とりどりのワンピースで、大股でパリの街を闊歩するたびに軽やかに翻る。もちろん場面ごとに彼女たちはワンピース以外の洋服も着ているけれど、どうしても印象に残るのはルイーズの赤いワンピースだ。何年も前、似たようなワンピースを見つけ、迷わず買った。ひさしぶりにクローゼットから出して着てみる。着れた。今夜の読書会にはこれで出かけよう。映画ではフラットシューズだったけれど、今日のところはサンダルにして。 

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映画「パリでかくれんぼ」原題:Haut bas fragile  監督:ジャック・リヴェット 1995年フランス 

パリでかくれんぼ [DVD]

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 Amazonで見れば、DVDは中古品のみで高額になっていた。いつの間にか手元のDVDがとても貴重なものになっている。またいつか、映画館のスクリーンで見たい。