もうひとつの、蜜白玉のひとりごと

些細な出来事と記憶の欠片

オーブン活躍

寒くなってくるとオーブンを使う機会が増える。台所で料理をすると家のなかの空気が暖まるせいか、ほかの季節よりも頻繁にグラタンやケーキやマフィンを焼く。オーブンの扉ぎりぎりに顔を近づけて(あぶない!よい子はまねをしてはいけません)、溶けていくチーズやふくらんでいく生地をじっと見る。材料を合わせる時間よりも、それらの行く先を見守っているこの時間が何より心躍る楽しいひとときだ。

もうひとつワクワクする瞬間といえば、卵と砂糖をハンドミキサーで泡立てる時で、もうこの頃は泡だて器を使うのはきめを整える最初と最後だけで、中間はハンドミキサーでブイーンとやってしまうのだけれど、これがまたどうなるか知っているにも関わらず毎回おもしろい。それはもう、もしかしたら表面を歩けるんじゃないかと思うくらいにふわっふわで、直前の卵と砂糖のおもかげはそこにはない。

よく作るのはいつも簡単なものばかりで、カトルカール(いわゆるパウンドケーキ)。これはそのときあるものを入れたりもする。熟して皮が黒くなったバナナとか、ココアパウダーとか、プルーンとか。それからもうひとつよく作るのは、アントネッロさんのアーモンドとリンゴのケーキ。テレビで見てからというもの、リンゴの季節には特にお気に入りのレシピだ。我が家ではこれにホイップクリームを添えて食べる。ホイップクリームはMeijiのデザートホイップを愛用していて、ちょっと使うにはこれで十分。

 

フィレンツェ 田舎生活便り 小さな村の春・夏・秋・冬

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※アーモンドとリンゴのケーキは秋の章(109ページ)に載っているそうです。