もうひとつの、蜜白玉のひとりごと

些細な出来事と記憶の欠片

休日の夕方

夕方、美容院から戻ると、もう髪は伸ばさないんだね、その一言がひどくさびしそうで、そんなつもりは全然ないのに、この調子でいくと未来永劫、私は髪を伸ばすことはないのかもしれないとハッとして、それからなんだかこっちまでさびしくなった。先に言ってよ、と人のせいにする。

美容院の鏡で見たときはすごく気に入っていたはずの髪型も、家の鏡で見るとそっけないもののように映る。それが潔さなのか、それとも油断なのか、図りかねる。

すっきりした襟足が好きなのだ。まるいシルエットも。気温が下がって頭皮に汗をかかなくなって、空気中の湿度も落ち着いてくると、癖のある髪でも言うことをきくようになる。となれば、待ってましたとばかりに、髪型を変えたくなる。いやいや、ここで力説するとますます嫌われてしまいそうだ。

すっきりした襟足、まるいシルエット、あとはタートルネックのセーターで完成するのに。それを着るのにはまだちょっと暑い。